2007 Fiscal Year Annual Research Report
微生物電池を利用した電気エネルギー回収型下排水処理プロセスの構築に関する研究
Project/Area Number |
19360241
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池 道彦 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (40222856)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惣田 訓 大阪大学, 講師 (30322176)
清 和成 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80324177)
|
Keywords | 微生物電池 / 下排水処理 / 電力回収 / サイクリックボルタンメトリー / 微生物群集解析 |
Research Abstract |
微生物電池(Microbial Fuel Cell;MFC)によって、多様な有機成分を含む下排水から電力を回収しつつ処理が行えるプロセスの構築を可能とする基礎的知見の取得を目的として、まず合成下水から電力回収が可能なMFCプロトタイプを試作するとともに、MFCを構成する微生物群集をT-RFLP法にて解析し、発電において役割を担うと考えられる微生物の特定を試みた。魚肉エキス、ペプトン、尿素を主成分とする複雑な有機組成を有する合成下水を基質として与え、また植種を嫌気性消化汚泥としてMFCの構築を試み、陰極表面に形成した生物膜をできる限り剥離させないよう保持することで、比較的安定な電力回収が可能なMFCを構築することができ、最大電力密度は22.2mW/m^2、最大電荷収率4.4%を達成した。この性能は、比較のため構築した酢酸塩を単一炭素源として構築したMFCとほぼ同等であり、複雑組成を有する排水からもある程度以上の効率で電力を回収できるMFCの構築が可能であることを実証した。ただし、単純な有機物を基質として構築された既報のMFCに比べてで電力密度は劣っていることから、装置や運転条件の最適化が必要と考えられた。MFC微生物群集を用いたサイクリックボルタンメトリー解析によって、合成下水MFCでは酢酸塩MFCと比較して、より多様な電子伝達系が利用されて電力回収が行われていることが示唆された。また、T-RFLP解析のより、合成下水MFCの生物膜中では複数の優占微生物が運転とともに遷移しながら、比較的安定な電力回収を行っていたことが観察され、特に有効な発電微生物を特定するには至らなかったが、今後詳細なモニタリングの対象とすべき微生物群を明らかにした。
|