2007 Fiscal Year Annual Research Report
転倒モーメント制御による鉄骨造制振構造システムの耐震設計法の構築
Project/Area Number |
19360244
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
緑川 光正 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (90126285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小豆畑 達哉 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (00251629)
石原 直 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (50370747)
麻里 哲広 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90250472)
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Keywords | 鋼構造 / 制振構造 / 転倒モーメント / 地震応答低減 / 耐震設計法 / 国際情報交換 / 米国 |
Research Abstract |
1.降伏型ベースプレートの静加力実験に基づく変形性能評価 柱浮き上がりに伴い降伏するベースプレート(BPY)を柱脚部分に取り付けた大型試験体に柱軸方向力を作用させる静的加力実験を行い,その塑性変形性能を評価した。 2.多スパン筋違付平面骨組の地震応答特性評価 BPYを多スパンの連層筋違付6層鉄骨造骨組に適用し,筋違構面の最下層柱脚部を部分的に浮き上がり許容した場合の地震応答特性を平面骨組解析により評価した。その結果,浮き上がるスパンに隣接する梁の塑性変形が増加することを確認するとともに,梁に必要とされる塑性変形の程度を定量的に示した。また,柱脚部が浮き上がった状態では高次モードの振動が発生することが既往の研究で指摘されているが,高次モードの影響はそれ程大きくないことを確認した。 3.柱脚部浮き上がりを伴う立体骨組の地震応答特性の評価 BPYを組み込んだ多スパンの10層ラーメン立体鉄骨造骨組を対象として3次元地震応答解析を行い,その地震応答特性を評価した。上下動の影響を定量的に評価した結果,地震応答時の浮き上がりに上下動が及ぼす影響は殆ど無いということが既往の研究で指摘されているものの,浮き上がり変位が10-20%程度増加することを明らかにした。また,浮き上がりに伴って捩れ応答が増加すること,地震動入力レベルが大きくなるほど振れ応答が増加することを示した。 4.転倒モーメント制御による制振骨組の耐震設計法 耐震設計法の構築に向けた予備段階として,簡易解析モデルを用いてBPYの履歴吸収エネルギーによる等価粘性減衰定数の評価を行った。その結果,BPYの寄与による等価減衰定数は約10%程度であることを明らかにした。また,最終の総入力エネルギーは変わらないものの,浮き上がり変位が大きくなる時刻付近では,位置エネルギーの寄与により総入力エネルギー入力の増加が抑制されることを明らかにした。
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