Research Abstract |
本研究は,災害時に避難施設となる体育館・公共ホールなどの空間構造物に対象とし,大地震及び強風時における構造部材及び2次部材の損傷メカニズムを明らかにするとともに,エネルギー吸収機構を用いた設計法及び応答評価手法の研究・開発を行うことを目的としている。 前年度までに,研究対象とする空間構造物の抽出,設定を行った上で,簡便な応答評価手法の確立を目指した基本的な地震応答性状の把握のための振動台実験を行った。更に数値解析により,エネルギー吸収機構を付加した場合の地震応答の低減について分析した。また,振動台実験により,エネルギー吸収機構を支持構造に設けた屋根型円筒ラチスシェルの実挙動における応答低減効果を明らかにした。以上の結果を受けて,平成21年度には,現在に至るまで数値解析により分析を行ってきた崩壊時挙動に関して,実挙動についても明らかにするため,振動台実験を行った。対象構造物は屋根型円筒ラチスシェルとし,入力は地震波の加速度レベルを徐々に大きくすることにより行った。振動台実験により得られた結果を基に,屋根部材の降伏過程や部材の塑性化か弾塑性応答性状に及ぼす影響について分析した。屋根各部で測定された加速度応答および変位応答は,屋根架構に設置される天井・照明等の設計に用いるための基礎データとしても用いられる。地震応答性状に関しては,数値解析によって,免震および制震機構を支持構造に配置することによる屋根架構の応答低減効果および応答評価手法についても分析した。 強風時における応答低減を目的とした空間構造物の形態創生については,まず形態創生を行う際に使用する流体解析プログラムの高速化を進めた。ここでは,複数の解析領域を利用したマルチグリッド法を適用することで高速化を行った。その結果,最大で約50%の高速化を実現することが出来た。この流体解析プログラムを使用した形態創生については現在行っており,今後も検討を進めていく予定である。
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