2008 Fiscal Year Annual Research Report
「鉛直方向の風の道」による臨海過密都市のヒートアイランド・大気汚染対策の提案
Project/Area Number |
19360265
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
義江 龍一郎 Tokyo Polytechnic University, 工学部・建築学科, 教授 (60386901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 多一 東京工芸大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD) (40423420)
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Keywords | ヒートアイランド / 風の道 / 乱流拡散フラックス / 移流フラックス / 風通し / CFD / 臨海過密都市 |
Research Abstract |
19年度には代表的な臨海都市の街区として、香港の超過密地域を参考に街区モデルを作成し、建蔽率、容積率、建物高さのばらつき等を系統的に変化させた風洞実験を行い、「鉛直方向の風の道」を考慮することの重要性を確認するとともに、街区内の平均的な風通しを普遍的に評価するための指標として「高さ方向平均グロス建蔽率」を提案した。 今年度(20年度)は、東京汐留からその背後の新橋周辺を参考として街区モデルを作成し、臨海部の高層建物群が背後の中低層市街地内部の風通しや気温に及ぼす影響を調査した。その結果、たとえ海に面して高層建物を屏風のように配置したとしても、歩行者レベルの風が弱まり気温が上昇するのは高層建物背後2H程度の範囲に限られ、それより風下側では上空からの下降流のために、歩行者レベルの風速はむしろ増加し気温は低下することが明らかとなった。したがって汐留の高層建物群が新橋地区のヒートアイランド現象を助長したという通説は正確性を欠いている。また中低層市街地の建物高さにばらつきがある場合、風向に直交する街路内で温度が下がる傾向があることも明らかとなった。さらにこの理由を解明する詳細な実験を行った結果、建物高さにばらつきがある場合には、鉛直方向の移流フラックスおよび乱流拡散フラックスが増大し、上空の冷たい気流が地上付近にまで輸送されるとともに地表付近の熱が効果的に上空へと排出されていることがわかった。 上記のような風洞実験と並行して、昨年度実施した香港の風洞実験の中から、特徴的な傾向を示したケース(建物高さが一様なケースとばらつきがあるケース)を対象として、LESによる詳細な数値流体解析を実施した。この解析結果に基づき、実験では把握しきれない各種乱流統計量の空間分布や、運動量・エネルギーの輸送構造を明らかとした。
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Research Products
(18 results)