2009 Fiscal Year Annual Research Report
単原子積層エピタキシャル人工格子における超微細磁気構造とスピン伝導の解析
Project/Area Number |
19360284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土井 正晶 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10237167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐橋 政司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20361123)
三宅 耕作 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20374960)
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Keywords | エピタキシャル薄膜 / 単原子積層 / 巨大磁気抵抗効果 / CPP-GMRスピンバルブ / アンドレーフ反射 / スピン分極率 / スピン非対称パラメータ / MR変化率 |
Research Abstract |
これまでに単原子積層[Fe(1ML)/Co(1ML)]_nエピタキシャル(Alternate Monatomic Layer : AML)薄膜が室温において高いバルク散乱非対称性(β=0.81)を示すことを報告した。そこで本年度はCuスペーサを用いたAML[Fe/Co]_nからなるエピタキシャルCPP-GMRスピンバルブ(SV)薄膜を作製し、スピン伝導の解析から電子伝導の非対称性、特にγ(スピンの界面散乱非対称係数)と磁気抵抗効果との関係について考察することを目的として研究を行った。超高真空EB蒸着法およびIBS法を用いて単結晶MgO(001)基板/Au(300nm)電極上に基板温度75℃においてAML[Fe/Co]_n/Cu(5nm)/AML[Fe/Co]_n(n=21~37)エピタキシャル薄膜を積層し、その上にIrMn(7nm)を積層したスピンバルブ薄膜を作製した。RHEED観察像からbcc-AML上のCuはbcc-likeで成長し、その上のbcc-AMLもエピタキシャル成長することがわかった。スピン伝導の解析の結果、室温でスピン散乱非対称性係数β=0.76、γ=0.81と大きな値を持つことを明らかにした。また、AML/Cu/AML薄膜のβ値の温度変化はホイスラー薄膜に比較して小さく、室温において高いβ値が維持できることを明らかにした。この値は室温で報告されている他のデータと比較して最高値であり、スピン拡散長が膜厚に対して十分に長いAgを中間層とし、理想的な素子を作製した場合、MR比が20%以上となることが示唆された。これらの結果からAML[Fe/Co]_nがCPP-GMRのエンハンスにつながる有力な材料であることを明らかにした。
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Research Products
(19 results)