2008 Fiscal Year Annual Research Report
低速陽電子ビームによる絶縁膜/Si界面の遷移層及び歪の研究
Project/Area Number |
19360285
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上殿 明良 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (20213374)
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Keywords | 陽電子消滅 / 低速陽電子ビーム / 絶縁膜 |
Research Abstract |
現在,稼動している低速陽電子ビームラインを改造し,陽電子ビームをパルス化する装置を追加した.本装置は,ビームチョッパー,プリバンチャー,バンチャーからなる.ビームチョッパーで直流の低速陽電子ビームを方形波に切り出し,プリバンチャー,パンチャーで,最大150MHzの高周波でエネルギー変調を与える.本年度では,比較的低い強度の陽電子線源を用いてビーム調整をおこなった.また,モンテカルロ法を用いたVBベースのプログラムを作成,実際のパルス化過程をシミュレーションした. 直流型の低速陽電子ビームを用いて,Si基板上に形成したHfSiOxを評価した.ここでは,陽電子・電子消滅γ線ドップラー拡がりスペクトルを陽電子打ち込みエネルギーの関数として測定した.スペクトルはsパラメーターおよびWパラメーターで評価した.HfSiOxおよびHfSiOx/Si界面に存在している電荷によって生じるSi基板中の電界の効果により,Si基板中に打ち込まれた陽電子の拡散がどのように変化するかを調べた.Si基板としてp+およびn+を用いることにより,Si基板中の空乏層の拡がりを変え,測定したSパラメーターおよびWパラメーターへの影響を調べた結果,陽電子は膜中の正電荷に敏感で,測定したSパラメーターの打ち込みエネルギー依存性は膜中電荷によって決まっていることがわかった.また,HfSiOx膜へのLaドーピングの効果,特に空孔型欠陥サイズへの影響と,固定電荷への影響を調べた結果,Laドーピングにより電荷が消失していることがわかった.
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