2009 Fiscal Year Annual Research Report
重く強固なクラスターが弱く結合した固体を用いた熱電変換材料開発
Project/Area Number |
19360286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 薫 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30169924)
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Keywords | 熱電変換材料 / 準結晶 / 化学結合 / クラスター / アーク溶解 / 放電プラズマ焼結 / MEM / Reitveld法 / 元素置換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、最近開発された多くの熱電材料の設計指針となってきたPhonon Glass Electron Crystalとは本質的に異なる設計指針(Weakly Bonded Rigid Heavy Clusters、WBRHC)を提案し、その有効性を実証し、新しい設計指針を確立しようとしたものである。 昨年度までの2年間に、上記の設計指針の有効性を実証するため、AIPdRe準結晶、AIPdMn準結晶への他元素置換の研究を行った。AIPdRe準結晶では、アーク溶解・熱処理後、プラズマ放電焼結による組織の改善により最大無次元性能指数(ZT)が0.05から0.15に約3倍になった。さらに、ZTの最大値は、Fe置換により500Kで2.6倍向上し0.21に、Ga置換により700Kで2倍向上し0.19になった。AIPdMn準結晶では、アーク溶解・熱処理のみで緻密な組織が得られ、より大きいZT0.18が得られた。さらにGa置換により、ZTの最大値は約1.4倍になり、これまで準結晶で報告されている最大の値より大きい0.26にまでなった。これらにより、WBRHCの設計指針としての有効性が確かめられた。 本年度は、Vドープβ菱面体晶ボロンやAl_2Ruにまで、対象物質の範囲を広げた。Al_2Ruは。Al系準結晶と同様に、Alを主成分とし遷移金属を含むが、狭ギャップを持つ半導体でありAl系準結晶の関連物質と考えられてきた。ただし、構造が単純であるため熱伝導率が大きく、ZTは必ずしも大きくない。そこで、Alを原子量の大きいGaで置き換えることにより、熱伝導率を低下させ、ZTを0.5にまで向上させることに成功した。
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