2009 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン-遷移金属ハイブリッド材料のスピン輸送機能デザイン
Project/Area Number |
19360290
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
境 誠司 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10354929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 吉弘 独立行政法人 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (80455287)
圓谷 志郎 独立行政法人 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (40549664)
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Keywords | フラーレン / 遷移金属 / 有機分子 / スピントロニクス / スピン偏極 / 分子スピントロニクス / 界面 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
本年度には、申請者らが発見したグラニュラー状態のC_<60>-Co薄膜における巨大TMR(トンネル磁気抵抗)効果の発現機構の解明を目的に、数100nm厚さのグラニュラーC_<60>-Co薄膜の層の上下を非磁性電極でサンドイッチしたCPP(current-perpendicular-to-plane)構造の素子を作製し、TMR効果に及ぼすトンネル電子の伝導過程・スピン偏極状態の寄与を調査した。低抵抗なCPP素子を用いることでゼロ電圧近傍から広い電圧範囲に渡る伝導特性の評価を行うことができ、その結果、低温において、C_<60>-Co薄膜中で高次のコトンネル(トンネル次数:3-6)によるトンネル伝導が生じることが明らかになった。さらに、最新の理論モデルに基づきTMR効果の大きさに及ぼすコトンネルの影響を見積もり、TMR効果に作用するトンネル電子のスピン偏極状態を解析した結果、ゼロ温度・ゼロ電圧に近い条件でトンネル電子のスピン偏極率が80%以上に達することが結論された。本結果は、巨大TMR効果の主要因として、グラニュラーC_<60>-Co薄膜を形成するC_<60>-Co化合物とCoナノ粒子の界面に於いて完全に近い高スピン偏極状態が存在することを示すものである。今後は、本成果を踏まえて、分子-磁性金属複合系の分子スピントロニクス材料用のスピン注入源への応用について検討を進める。
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