2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360291
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
稲富 裕光 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 准教授 (50249934)
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Keywords | 金属物性 / 過冷融液 / 磁性 / 物性実験 |
Research Abstract |
昨年度に開発した電磁浮遊装置では、CoPdのみならず平成21年度に扱う予定の試料であるCoPtそして同じく鉄族-白金族の組み合わせであるFePd、NiPdを安定して浮遊させかつ大きな過冷却状態を得にくいことが明らかになった。この問題を解決すべく、電磁浮遊とガスジェット浮遊を組み合わせた新しい浮遊方式に対応するチャンバーを新たに開発した。そして静磁場印加によりガスジェットの乱れおよび電磁撹拌による擾乱を抑制した。その結果、Co80Pd20融液を浮遊させ、静磁場〜6T下において250K程度の過冷却を達成した。そして過冷却の増大とともに浮遊液滴が軸方向に大きく変形したことから、Co80Pd20融液は過冷却域において強く磁化されることを実証した。 また、昨年度に開発した回転検光子法による偏光解析では、強磁場下でも僅かに残った電磁撹拌による浮遊液滴の微細な並進運動および表面振動が計測誤差の大きな要因の一つとなっていた。そこで、本年度は光弾性変調器を用いた光学遅延変調法を本計測に応用することで、浮遊液滴表面のカー回転角とカー楕円率を同時にかつ高速(〜数kHz)で求めることに世界で初めて成功した。このデータを元に磁化率の変化をリアルタイムで求めたところ、過冷却域においてキュリー・ワイス則に従うように見える磁化の上昇を確認した。加えて、本解析手法は試料の表面状態に敏感であり、従来の光学系では観察されないような融液表面のわずかな酸化の進行が測定された。その結果、液体状態でのキュリー温度点のごく近傍での磁化率の急激な上昇を計測するには至らなかった。
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Research Products
(6 results)