2007 Fiscal Year Annual Research Report
サイズ効果フリー誘電体の誘電特性におよぼす残留歪と温度の影響
Project/Area Number |
19360294
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟窪 浩 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (90219080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 寛 上智大学, 理工学部, 助教 (60327880)
|
Keywords | サイズ効果 / 誘電体薄膜 / 残留歪み / 温度依存性 |
Research Abstract |
申請者は、ビスマス層状誘電体薄膜の結晶方位依存性を研究する過程で、強誘電性が無く、ナノメータの厚さの酸化ビスマス層でペロブスカイト層をサンドイッチした方向であるc軸方向に電界を印加すると、 1.比誘電率は200と高いものの、膜厚が低下しても減少しない"サイズ効果フリー特性"を示す。 2.比誘電率は印加電界や温度に対して安定した比誘電率を示す。 3.薄膜化しても高い絶縁性が維持できる。 という従来の物質の問題点を克服した、まったく新しい特性が発現することを見出した。 本研究は"サイズ効果フリー"誘電体に関して、誘電率の温度依存性が小さい起源を明らかにする研究を行った。 膜厚140nmのBi_2Ta_2O_9薄膜を製膜温度700℃で(100)、(110)および(111)配向したSrRuO_3//SrTiO_3基板上に有機金属化学析出法(MOCVD法)で作製した。 その結果、(001)(1110)(105)配向したエピタキシャル膜が合成できたことがXRDの解析結果から明らかになった。得られた膜の比誘電率は(ll10)、(001)、(105)の順で大きくなり、この順番は大きな差ではないものの、誘電損失でも、確認され、誘電特性の結晶方位依存性を確認した。 一方低温では比誘電率の結晶方位による差は小さくなり、温度依存性にも結晶方位依存性があることが明らかになった。このことは誘電率の温度依存性は、物質固有の値ではなく、結晶方位に強く依存することを示している。またこの結果は、(001)配向薄膜が温度に対して安定した誘電特性を示すことも示している。
|
Research Products
(5 results)