2008 Fiscal Year Annual Research Report
“サイズ効果フリー"誘電体の誘電特性におよぼす残留歪と温度の影響
Project/Area Number |
19360294
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟窪 浩 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90219080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 寛 上智大学, 理工学部, 助教 (60327880)
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Keywords | サイズ効果 / 誘電体薄膜 / 残留歪み / 温度依存性 |
Research Abstract |
本研究では、一軸配向(100)LaNiO_3および(100)SrRuO_3//(100)LaNiO_3をバッファー層として導入したPt電極付き単結晶Si基板上に化学溶液法を利用して結晶配向性SrBi_4Ti_4O_<15>およびCaBi_4Ti_4O_<15>薄膜を作製し、その誘電特性を評価した。薄膜試料は、アルコキシドおよび硝酸塩を出発原料とした2-メトキシエタノール溶液を各種基板上に塗布したのち乾燥・熱分解・結晶化の処理を施すことにより作製された。SrRuO_3バッファー層はスパッタリング法、LaNiO_3バッファー層は化学溶液法によってそれぞれ作製された。 Pt電極付き単結晶Si基板上に直接作製した薄膜はその結晶配向性がランダムであったが、LaNiO_3およびSrRuO_3//LaNiO_3バッファー層を導入した基板上では、基板面方位に(001)面が選択的配向したSrBi_4Ti_4O_<15>およびCaBi_4Ti_4O_<15>薄膜の形成が確認された。また、化学溶液法による薄膜形成の際、材料結晶化に対応する熱処理プロセス(約800℃)の頻度を増やすことによってSrBi_4Ti_4O_<15>およびCaBi_4Ti_4O_<15>の結晶化度を向上させることが可能であり、それに伴った薄膜試料の絶縁特性の改善を実現することができた。 これら(001)配向性SrBi_4Ti_4O_<15>およびCaBi_4Ti_4O_<l5>薄膜の室温での比誘電率はそれぞれ約240および250であった。それらの静電容量(C)について測定温度依存性を評価したところ、室温〜200℃の温度領域内で測定値は緩やかに上昇したが、その変化量は5%程度の小さな値であった。また、誘電損失(tanδ)は測定温度領域内で常に3%以下であり、本研究で作製された結晶配向性SrBi_4Ti_4O_<15>およびCaBi_4Ti_4O_<15>薄膜は現段階で主要なキャパシタ用材料である(Ba,Sr)TiO_3よりも外部温度による特性変動の影響を受けにくい性質を持つと判断される。 また本研究で検討しているビスマス層状誘電体と比較するため、従来から誘電体薄膜に使用されている、(Ba,Sr)TiO_3と近年注目を集めているBi-Zn-Nb-O系についても併せて見当を行った。
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Research Products
(8 results)