2007 Fiscal Year Annual Research Report
オーロラPLD法による構造誘起マルチフェロイック薄膜の合成と巨大相互作用発現
Project/Area Number |
19360296
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
脇谷 尚樹 Shizuoka University, 工学部, 教授 (40251623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 久男 創造科学技術大学院, 教授 (70154573)
篠崎 和夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00196388)
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Keywords | マルチフェロイック / オーロラPLD / 薄膜 / 強磁性 / 強誘電性 |
Research Abstract |
本研究の目的は強誘電性と強磁性間で相互作用が生じる原因を解明することを通して,巨大な相互作用を発現させるための指導原理を提案することにある。さらに,マルチフェロイック特性を利用した新しいデバイスである【電界磁界チューナブルキャパシタ】の創成を目指す。電界の印加によって誘電率が変わるチューナブルキャパシタは将来の携帯電話用のアンテナ用に現在広く研究が行われている。これに対して,磁界の印加によっても敏感に誘電率を変えることが可能になれば,電磁波の進行方向に対して自発的に指向性を変える全く新しいスマートアンテナが実現出来ると期待される。 19年度はSi基板上にバッファー層(CeO_2/YSZ)と電極層((La,Sr)CoO_3)を導入し,強誘電体(BaTiO_3)と強磁性体(CoFe_2O_4)のマルチフェロイック薄膜((BaTiO_3-CoFe_2O_4)/(La,Sr)CoO_3/CeO_2/YSZ/Si構造)をダイナミックオーロラPLD装置を用いて作製した。この構造ではBaTiO_3層とCoFe_2O_4層の両方が電極である(La,Sr)CoO_3上にともにエピタキシャル成長することが明らかになった。この構造の薄膜の強誘電特性(P-Eヒステリシス)は薄膜の面内方向に約2000Gの磁場の印加により増加することが明らかになった。これは磁場の印加によって強磁性体であるCoFe_2O_4に磁歪が生じ,この歪みが強誘電体であるBaTiO_3に圧縮応力を印加させたためであると考えられる。この効果は基板としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)単結晶を用いることにより増加することが明らかになった。熱膨張係数の大きいYSZ基板上でこの効果が顕著になった原因として, YSZ基板を用いた場合には圧縮の残留応力が増加したためと考えられる。このことは,『磁歪』によって発生する『応力』を媒体として『強磁性』と『強誘電性』の相互作用を引き出したものであり,本研究の目的である強誘電性と強磁性の相互作用が実際に生じること,また,その大きさは応力によって制御可能であることを示したものである。
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Research Products
(19 results)