2008 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアが作るナノ・バイオ酸化鉄のキャラクタリゼーションとLiイオン充放電挙動
Project/Area Number |
19360300
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高田 潤 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60093259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 達生 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (10222259)
中西 真 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (10284085)
菅野 了次 東京工業大学, 総合理工学研究科, 教授 (90135426)
草野 圭弘 倉敷芸術科学大学, 芸術学部, 准教授 (40279039)
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Keywords | 酸化鉄 / 鉄酸化細菌 / 常温合成 / ナノ微粒子 / マイクロチューブ / アモルファス構造 / Liイオン二次電池 / 正極材 |
Research Abstract |
鉄酸化細菌(バクテリア)Leptothrix ochraceaが常温で作るナノ・バイオ酸化鉄が優れたLiイオン充放電特性を示すことを平成19年度に見出した。平成20年度ではバイオ酸化鉄のLiイオン充放電機構を構造の面から明らかにするとともに、サイクル特性の向上を目指して研究を行った。主な研究成果を以下に示す。 (1)バイオ酸化鉄のFeイオン周りの局所構造を解明した:バイオ酸化鉄のFeの価数は3、Feイオン周りの酸素の配位数が約6であることを見出した。その構造は長距離秩序を持たない非晶質構造特有の構造を有し、低結晶性酸化鉄である2-line ferrihydriteよりも結晶性が低いことが明らかとなった。 (2)バイオ酸化鉄のアモルファス構造を解明した:バイオ酸化鉄の構造はFeO6八面体が主に頂点および稜を共有することでネットワーク構造を形成しており、SiO4四面体はそのネットワーク構造中に孤立したSiO4四面体およびSi2O7二量体として存在していることを明らかとした。 (3)バイオ酸化鉄の充放電機構をXAFS測定(KEK BL12C)により明らかとした:バイオ酸化鉄の初期放電容量が極めて大きいのは、Feが2価よりも還元されており一部0価のFeになっていることが主な要因であることが明らかとなった。また、サイクルを重ねるにつれて容量が低下するのは、バイオ酸化鉄のFeが充電時においても徐々に2価に近づくとともに、バイオ酸化鉄の構造が変化したまま元に戻らないことが原因であることを明らかとした。 (3)バイオ酸化鉄のサイクル特性の向上:Li二次電池の正極の作製条件を最適化したところ、重量比で活物質(バイオ酸化鉄):導電剤(アセチレンブラック):粘結剤(PTFE)=2:6:2の条件でサイクル特性が大幅に向上することを見出した。すなわち、100サイクルの充放電を重ねても200mAh/g程度の容量を維持することに成功した。
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Research Products
(4 results)