2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドプロトン伝導体の構造制御による耐久性向上と燃料電池への応用
Project/Area Number |
19360303
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 正幸 Musashi Institute of Technology, 工学部, 教授 (80112481)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 無機-有機ハイブリッド / 新規電解質膜 / シラン系ポリマー / リン酸処理石膏 / 燃料電池特性 / 高プロトン伝導性 / 膜電極接合体 |
Research Abstract |
平成20年度においては、無加湿下で高いプロトン伝導性が確認されているリン酸処理石膏を用いて、環状エーテル結合をもつシランのポリマー化によりハイブリッド化することにより作製した電解質膜を用いて、その電気伝導度を計測すると共に、膜電極接合体を作製して燃料電池特性を評価することを中心として研究を進めた。作製した試料には、石膏に由来する局所構造とシランの重合により形成された有機-無機複合構造が存在することが、赤外吸収とラマン散乱スペクトルから確認された。また、作製した膜は、室温から145℃の温度領域において高い電気伝導性を保持し、130℃において最も高い電気伝導度1.3×10^<-4>S/cmを示した。これらの結果より、作製されたハイブリッド試料は、当初の計画通りに作製可能であること、またその電気伝導度が水の沸点である100℃を大きく越えても、高い電気伝導性を維持するという、価値ある知見が得られた。さらに、膜電極接合体の作製条件の最適化を行い、それを用いて燃料電池特性を評価した。触媒層中の触媒の重量とリン酸処理石膏が同じ重量のときに、燃料電池特性が安定して得られることが分かった。その最大出力密度は20.5mW/cm^2であり、最大電流密度は60mA/cm^2であった。これらの値は、フッ素樹脂型の電解質膜に比較して低い値ではあるが、100℃以上で安定して性能を示すことが期待できる。従って、当初の予定通りに、作製したハイブリッド材料は、次世代の燃料電池の電解質膜の候補として研究を進める価値があることを示すことができた。
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