2009 Fiscal Year Annual Research Report
逆ペロフスカイト型マンガン窒化物を用いたゼロ膨張セラミック材料の開発
Project/Area Number |
19360304
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹中 康司 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60283454)
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Keywords | ゼロ膨張材料 / 負熱膨張 / 熱膨張制御 / 単一物質 / セラミック / 逆ペロフスカイト / 機械特性 / ヤング率 |
Research Abstract |
産業技術の高度な発達に伴い、多くの産業分野で、熱膨張抑制に対する強い要請がある。本基盤研究では、ガラス系ゼロ膨張複合材料を中心とした従来材料では難しかった、精密加工など力学的負荷の大きなプロセス分野での利用をも可能にする高強度の汎用ゼロ膨張セラミック材料の開発を目指し、構成元素の種類やその比率の調整により熱膨張特性が自在に制御できる逆ペロフスカイト型マンガン窒化物を用いて、1)歪みや欠陥が入りにくく機能が安定する、2)作製プロセスが簡素で製造コストが低く抑えられる、という点で理想的な「単一物質ゼロ膨張セラミック材料」の開発に取り組む。平成21年度では、構造材料としての基本特性を明らかにする目的で、典型的な負熱膨張/ゼロ膨張組成であるMn_3(Cu, Ge)NやMn_3(Cu, Sn)Nを中心に様々な組成について、ヤング率やビッカース硬度、曲げ強度などの機械特性評価を行った。その結果、当該マンガン窒化物は、侵入元素(窒素)を含む規則合金の範疇に入るものの、GeやSnを含んだ負熱膨張/ゼロ膨張組成では、ヤング率やビッカース硬度が大きく、展性が低い「セラミック的」な機械特性を示すことが明らかになった。とりわけ、ヤング率は300GPaを超えており、従来の熱膨張制御材料であるインバー合金の130GPaやZrW_2O_8の80GPaを遙かにしのぐ。大きなヤング率は、部材の小型・軽量化を可能にする上で不可欠であり、その意味で本研究成果は当該材料の工業材料としての高いポテンシャルを示すものである。
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Research Products
(12 results)