2007 Fiscal Year Annual Research Report
析出誘起再結晶-新規な再結晶現象の解明と集合組織制御への応用-
Project/Area Number |
19360310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古原 忠 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (50221560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 吾郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60451621)
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Keywords | 表面処理 / 析出物 / EBSD / 窒化物 / 鉄鋼材料 |
Research Abstract |
19年度は(1)析出誘起再結晶組織形成に及ぼす初期組織形態の影響,(2)析出誘起再結晶集合組織に及ぼす第二相の影響の2点の解明を目指した.(1)を明らかにするため,細粒フェライト(α)組織および冷間加工したFe-18mass%Cr合金を843Kで窒化し,電顕による窒化層の組織観察および電子線後方散乱回折を用いた方位測定を行った.その結果,いずれの試料でも窒化層は元のα粒と異なる結晶方位を持つ新たなα粒とCrNからなるラメラ組織から構成され,元のα粒と新たに生成したα粒との間にはΣ9の対応格子関係があることが明らかとなった.新たに生成したα粒の成長は窒化前に存在したα粒界で止まり,前方にあるα粒とΣ9関係を持つ別のα粒が新たに核生成する.冷間加工材では5°以上のサブグレイン境界でもα粒の成長が抑制され,窒化層中のα粒径は著しく微細化される.このようなα成長の抑制効果はΣ9対応格子粒界に許容されるずれ角よりも大きな方位差の粒界について発現するという重要な知見を得た. (2)Fe-10CrおよびFe-10Cr-0.2C合金を焼入れしてマルテンサイト組織とした試料を843Kで種々の時間窒化処理した場合の組織変化を調べた.Fe-10Crマルテンサイト組織の窒化でも新たなα粒が生成するが,(1)で得られた知見と同様にラスマルテンサイト組織中の5°以上の小角粒界でα粒の成長は止まり,別のα粒が核生成することが明らかとなった.一方,Fe-10Cr-0.2Cマルテンサイト組織の窒化では新たにα粒は生成せず,元のマルテンサイト基地中にセメンタイトとCrNが分散した組織を呈することを見出した.以上より,セメンタイト中にCrが濃化して母相中のCr濃度が減少することでCrN析出が抑制されるため再結晶粒の生成が起こらない可能性が示唆された.
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