2008 Fiscal Year Annual Research Report
析出誘起再結晶-新規な再結晶現象の解明と集合組織制御への応用-
Project/Area Number |
19360310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古原 忠 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (50221560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 吾郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60451621)
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Keywords | 表面処理 / 析出物 / EBSD / 窒化物 / 鉄鋼材料 |
Research Abstract |
析出誘起再結晶を利用したガスーデガスプロセスによる表層の集合組織制御を目的として, 平成20年度はオーステナイト系鉄合金における再結晶発現条件を調べた. オーステナイト系合金としてFe-20Cr-10Ni, Fe-(3, 10, 20)Cr-35Ni合金を用い, それぞれの合金に対し693から973Kの温度で種々の時間プラズマ窒化処理を施し, その組織を電顕および電子線後方散乱回折(EBSD)により調べた. オーステナイト系合金ではFe-20Cr-10Ni合金を943Kで, Fe-(10, 20)Cr-35Ni合金を843K以上の高温で窒化すると窒化領域にラメラ状CrNを含む新たなγ粒が生成すること, 添加Cr量の少ないFe-3Cr-35Ni合金ではいずれの窒化温度でも噺たなオーステナイト粒は生成しないことを見出した. これら新たに生成したオーステナイト粒はフェライト系合金と異なり元のオーステナイト粒と<100>γを共有し10〜40°の方位差を持つことが明らかとなった. Fe-35Ni合金ではオーステナイトが安定化されており, 新たなオーステナイト粒の生成にγ→α→γという相変態が関わる可能性がないことから, オーステナイト系ステンレス鋼の窒化においてもCrN析出に伴う歪に誘起されてオーステナイトの再結晶が起こると結論した. 一方,これまでのフェライト系ステンレス鋼の窒化挙動とは異なりより低温では新たなオーステナイト粒の生成は見られない. また, オーステナイト系合金の一部窒化条件では,窒化中にオーステナイトに比べ窒素拡散係数が大きいフェライト粒が生成するため, 窒化層の成長が著しく促進される異常成長が現れるという重要な知見が得られた.
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