2009 Fiscal Year Annual Research Report
析出誘起再結晶 ― 新規な再結晶現象の解明と集合組織制御への応用 ―
Project/Area Number |
19360310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古原 忠 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (50221560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 吾郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60451621)
紙川 尚也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30530894)
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Keywords | 表面処理 / 析出物 / EBSD / 窒化物 / 鉄鋼材料 |
Research Abstract |
H21年度は,高Cr添加鉄合金に対して,従来我々が行ってきたプラズマ窒化処理に代えてガス窒化処理を行うことで,析出誘起再結晶に及ぼす窒化ポテンシャルの影響を調べ,以下の知見を得た. 973KにおいてはCr添加によって試料表面に生成する不動態膜の影響で良好な窒化反応が見られなかったため,主に1273Kにおいて実験を行った.1273Kでオーステナイトが安定なFe-10Cr合金およびフェライトが安定なFe-18Cr合金を用いてガス窒化処理により生成した窒化層の微細組織を調べたところ,Fe-10Cr合金では表面からの窒素流入に伴いオーステナイト中でCr_2NおよびCrN粒子が連続析出することが分かり,析出誘起再結晶は見られなかった.一方,Fe-18Cr合金では窒素流入によりオーステナイトが安定となるため,窒化層先端にオーステナイト単相領域,その表面側にCr_2N+オーステナイトのラメラ組織が生成することが明らかとなった.窒素ポテンシャルを低下させると窒化層全体の厚さは減少するが,オーステナイト単相領域の厚さの減少は小さく,低ポテンシャルでは,窒化層はほぼオーステナイト単相となる.(Cr_2N+オーステナイト)ラメラ組織は,オーステナイト単相領域へ浸食しながら成長し,その境界はオーステナイトの大角粒界となっていることがEBSD測定により明らかになっている.試料表面近傍にオーステナイト粒界がすでにあるため不連続析出の核生成に析出誘起再結晶が発現していない可能性も捨てきれないが,窒素流入によるオーステナイト化後,更に窒素濃度が増加することでCr_2Nがオーステナイト中で不連続析出することが明らかとなり,窒素流入により高温で生成したオーステナイトでも析出誘起再結晶に起因する不連続再結晶が起こることが示唆されている.
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