Research Abstract |
アスベストの代替品として,膨張黒鉛の耐薬品性,圧縮性,安全性,コスト等の優れた特性の利用が期待されている.今後の需要の増大を見越し,50μm以下の粒径の黒鉛フレークの膨張化に対応する必要がある.平成19年度に50μm以下の天然黒鉛微粒子の膨張化を,硝酸電解質中での陽極酸化にて酸化黒鉛を合成し,それを1000℃にて急速加熱することにより,15μm,あるいは10μmの微粒子黒鉛からの膨張黒鉛の作製に成功した.平成20年度には,「K-N2-グラファイト及びNa-N2-グラファイト三元系化合物を用いたリサイクル性のある膨張化技術(N:窒素)」として膨張黒鉛製造のための環境に優しい新しいインターカレートの開発を試みた,シュレンクラインを用いた真空系での合成により,ガラス製反応管の中に金属ナトリウムとグラファイトをセットして真空排気した後,反応管を194Kに保持し,アンモニア蒸気を導入・凝縮させた状態で反応させ,数時間放置した後,2日ほどかけてゆっくりと室温に戻して過剰のアンモニアを除去する手法により,15μmの黒鉛フレークでの膨張化に成功した.また,この真空系にて,使用したアンモニアの回収を試みたところ,真空系に蒸発してしまうロスを除いて,90%以上の回収が可能となり,環境に優しい技術の開発に成功した.
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