2009 Fiscal Year Annual Research Report
アスベスト代替えに伴う膨張黒鉛の需要増大に伴う対応と環境に優しい製造技術の開発
Project/Area Number |
19360319
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
豊田 昌宏 Oita University, 工学部, 教授 (00290742)
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Keywords | 膨張黒鉛 / 黒鉛層間化合物 / 微粒子黒鉛フレーク / アスベスト代替え / インターカレーション / 三元系層間化合物 / 電気化学処理 / 酸化黒鉛 |
Research Abstract |
アスベストの代替品として,膨張黒鉛の耐薬品性,圧縮性,安全性,コスト等の優れた特性の利用が期待されている.今後の需要の増大を見越し,50μm以下の粒径の黒鉛フレークの膨張化に対応する必要がある.平成19年度に50μm以下の天然黒鉛微粒子の膨張化を,硝酸電解質中での陽極酸化にて酸化黒鉛を合成し,それを1000℃にて急速加熱することにより,15μm,あるいは10μmの微粒子黒鉛からの膨張黒鉛の作製に成功した.平成20年度には,「K-N2-グラファイト及びNa-N2-グラファイト三元系化合物を用いたリサイクル性のある膨張化技術(N:窒素)」として膨張黒鉛製造のための環境に優しい新しいインターカレートの開発を試みた.シュレンクラインを用いた真空系での合成により,ガラス製反応管の中に金属ナトリウムとグラファイトをセットして真空排気した後,反応管を194Kに保持し,アンモニア蒸気を導入・凝縮させた状態で反応させ,数時間放置した後,2日ほどかけてゆっくりと室温に戻して過剰のアンモニアを除去する手法により,15μmの黒鉛フレークでの膨張化に成功した. また,この真空系にて,使用したアンモニアの回収を試みたところ,三元系層間化合物を使合成する際に使用したアンモニアの回収が可能であることも明らかにした.特に三元系層間化合物を合成した際に使用した過剰のアンモニアについては100%回収することが可能になった.しかしながら,膨張の際に蒸気として排出されるアンモニアガスの回収については,冷却トラップを使用して回収をおこなっても100%の回収には至らず,90%程度である.回収率の向上を図るためには,冷却トラップの改善で回収率の向上を図る必要があると考えられた.
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