2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱・熱膨張同時測定による相変態解析手法の開発
Project/Area Number |
19360325
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
友田 陽 Ibaraki University, 理工学研究科, 教授 (90007782)
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Keywords | 中性子回折 / 熱膨張測定 / 組織制御 / 相変態 / 小角散乱 |
Research Abstract |
プロセッシング中にその場中性子小角・広角散乱回折によってミクロ因子の定量測定を世界に先駆けて実現することが目標である。鉄鋼材料における過冷オーステナイトからのフェライト、パーライト、ベイナイト変態を対象に、変態の前駆現象、変態開始・進行に関する速度論と結晶学的考察が同時にできる新しい測定装置の設計製作を行った。試作した装置を原子力研究開発機構3号炉附設装置RBSAに取り付けて調整し実験を行った。すなわち、高炭素鋼をオーステナイト化した後に573Kに冷却し、ベイナイト変態を観察・測定した。変態開始前に炭素濃度の揺らぎが生じて回折プロファイルがブロードになるという放射光実験の結果が報告されホットな議論がなされているが、バルク全体の平均挙動が測定できる中性子回折では、そのような結果は認められなかった。RESAでは角度分散法を用いるので一度に多くの回折ピークを追うことができなかった。そこで、飛行時間法により直交2方向から多数の回折ピークが得られる英国ISISで実験した。最後にJ-PARCの匠に試作した熱膨脹測定装置を取り付けて実験し、3種類の実験結果を比較検討した。一方、小角散乱ではフェライト系鋼の場合に磁気散乱と核散乱を分離することが必須なので、新たに磁場・温度制御下で熱膨脹測定と連成させる装置を設計し、別予算を使って製作した。この装置も本研究で利用し、ベイナイト変態挙動他を追った。J-PARCの装置iMATERIAでは、広角から小角まで一度に測定できるので、熱膨張収縮の原因を構造解析と組織(サイズ、形状、量)解析から明らかにする新測定技術を確立することができた。その他、基盤となる実験をRESA、ISISで行いデータ解析手法を検討した。
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Research Products
(4 results)