2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノパルスプラズマを利用したダイヤモンド膜の低温合成
Project/Area Number |
19360331
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大竹 尚登 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40213756)
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Keywords | プラズマ加工 / ダイヤモンド / 薄膜 / トライボロジー / ナノパルス |
Research Abstract |
本研究は,ナノパルスプラズマを用いた化学気相成長法により低温度でかつ大気圧下でダイヤモンド薄膜を合成する方法を開発し,摺動部材に適用してその機械的特性を評価することを目的としたものである.そこでまずダイヤモンド気相合成用のナノパルスプラズマ電源の開発を行った.ダイヤモンドを合成するためには,これまでの研究例を考えれば数十kWの高い電力をプラズマに印加する必要がある.現在製造されている電源構成でこのダイヤモンド合成を行うことは不可能であり,素子を新しく構成して最大パルス電力50kWの電源を開発した.そして作製したナノパルス電源を用いて,プラズマ発生実験を行った.この際,安定した放電を実現するためには,多くの実験条件を最適化することが求められる.まず,ガスの種類が重要である.本研究では,原料ガスとして,気相中で重合しにくいメタン(CH_4)を用い,これをH_2で希釈してプラズマを発生させた.そして,1usの分解能を有する高速分光分析により,プラズマ中に存在する化学種とその時間変化を明らかにした.ついで電源の電圧を正パルス+2〜+10kV間で変化させ,さらに電極・基材間の距離を2mm〜100mmの間で変化させて,安定な放電が得られる条件を明らかにした.さらに,開発した装置を用いてダイヤモンド膜の堆積を試みた.その結果,ナノパルスプラズマにタングステンフィラメントを援用することにより微結晶のダイヤモンドを生成できることを明らかにした.この際のシリコン基板の温度は800〜1000℃と高く,今後低温下に向けて電源の検討,直流電圧の重畳や原料ガスへの酸素の導入を試みることが必要であるという指針を得た.
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Research Products
(2 results)