2007 Fiscal Year Annual Research Report
価数揺動状態とランタノイド収縮を利用した希土類硫化物からなる高温熱電材料の創製
Project/Area Number |
19360337
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
平井 伸治 Muroran Institute of Technology, 工学部, 教授 (10208796)
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Keywords | 希土類硫化物 / チオシアンアンモニウム / 熱分解 / 高温熱電材料 / 単相 / 真空加熱 / 高純度 |
Research Abstract |
NH_4SCN粉末のTG-DTAの結果、DTA曲線から420Kの融点、500Kの分解に対応する吸熱ピークが確認され、TG曲線からはNH_4SCNの分解に伴う大幅な質量減少が確認された。また、NH_4SCN粉末のTG-MSにより測定された303〜473Kにおける質量スペクトルから、NH_3,HSCNの他、H_2S,CS_2,SO_2と見積もられる微弱なピークも確認された。次に、NH_4SCN粉末の加熱温度を468Kに設定し、La_2O_3粉末の硫化を行ったところ、1173K以上の硫化温度においてβ-La_2S_3単相の生成が確認され、一方、Gd_2O_3粉末の硫化では1223K以上でα-Gd_2S_3単相が確認された。また、化学分析の結果、不純物炭素量は減少し、いずれの試料においても0.03mass%を超えなかった。1273Kで硫化した合成粉末から焼結体を作製したところ、それぞれβ-La_2S_3単相とγ-Gd_2S_3単相の焼結体が得られた。γ-Gd_2S_3のみについて熱電特性を調査したところ、CS_2ガスで硫化した場合と較べてSは増加し、κは減少したが、ρも増加したため、結果的にはいずれのZT値も0.04付近であり、熱電特性の改善は見られなかった。また、焼結体破断面のSEM観察の結果、NH_4SCNの分解ガスの場合、焼結体中に嵩密度の低下の原因となる多数の閉じた空孔が観察された。この多孔質化がκの減少とρの増加が影響することは自明であり、次にα-Gd_2S_3の合成粉末に真空加熱を施してγ-Gd_2S_3単相としたものを用いて焼結した。真空加熱後の合成粉末の化学分析の結果、不純物炭素量は0.01mass%、酸素量は0.15mass%まで減少し、これまでの合成粉末のなかでも純度が最も高い合成粉末が得られた。また、焼結体破断面のSEM観察においても細孔は観察されなかった。キャリア濃度の最適化に、NH_4SCNの分解ガスを用いた硫化と真空加熱を組み合わせることによりκとρの最適化がなされZTが一層向上する可能性が示唆された。
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