Research Abstract |
液相の2相分離を予測し,偏晶合金の組織制御を効率良く行うためには,CALPHAD(Calculation of Phase Diagrams)法に立脚した状態図計算のための熱力学データベースが重要である.本年度は,銅基合金に関する熱力学データと相平衡データを調査すると共に,実験によりCu基3元系合金の相平衡を測定し,状態図計算ソフトウェアThermo-Calcを用いて,Cu-X2元系とCu-X-Y3元系の熱力学パラメータを評価して,Cu-B-C-Cr-Fe-Ni-P-Si-Sn-Ti-Zn11元系のデータベースを構築した. 更に,既存の実験状態図から,Ag-X(X=Ni,Co,Fe)系合金において,Ag-rich液相とX-rich液相の2相分離が生じることが分かるが,いずれの2元系においても,2液相分離の温度が非常に高いため,偏晶合金の組織制御が困難であることが予測できる.これらのAg-X2元系にCuを加えることにより,2液相分離温度が低下し,偏晶合金ハイブリッド粉末の組織制御に利用することが推察されるので,Ag-Cu-Co-Fe-Ni5元系について,Cu-Fe,Fe-Ni,Fe-Co2元系(規則相は除く)を評価し,その他の2元系は文献およびSSOLデータベースを参照して,10種の2元系データベースを揃えた後,必要に応じて3元系の熱力学パラメータを追加して,Ag-cu-Co-Fe-Ni5元系偏晶合金の熱力学データベースを構築した.この熱力学データベースを利用することにより,Ag-Cu-X(X=Ni,Co,Fe)3元系の2液相分離の温度と組成が計算できるため,偏晶合金ハイブリッド粉末の合金設計を実施した.
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