Research Abstract |
次世代の光源として注目される紫外発光素子は,幅広い用途(蛍光灯の代替,高密度DVD,生化学用レーザー,光触媒による公害物質の分解,He-Cdレーザーや水銀灯の代替)が期待されており,裾野の広い基礎科学および新産業分野を創出する.この紫外発光素子は,ワイドギャップ半導体と呼ばれる窒化物(AINやGaN)を主成分とする半導体からなる.この半導体は,通常サファイアやSiCなどの異種基板上に成長が行われるが,基板との格子不整合が大きいため,未だに欠陥の少ない窒化物薄膜を得るのはきわめて難しく,多数の貫通転位が存在している.本研究では,AlN-Al_2O_3-C-N_2-CO系熱力学的相安定図を構築し,これに基づいたサファイア窒化法によるAIN膜の作製法を提案した.この相安定図を用いると,サファイアを窒化する場合に,炭素共存下でN_2-CO混合ガスを用いて,窒化駆動力を制御して窒化反応を進行させることができる.この熱力学的原理に基づいて作製したAlN膜は,結晶欠陥のない極めてきれいな膜であることが分かった.XRDの結果から,c面(0001)サファイア基板の面上には,c軸配向したAlNが生成し,Al_2O_3[11-20]方向とAlN[1-100]方向が平行であることが分かった.また,本研究における窒化条件では,AlN/Al_2O_3界面で生成したAl^<3+>およびO^<2->イオンがAlN膜内を外方拡散し,ガス/AlN界面ではAlNおよびCO(CO_2)ガスを生成して窒化反応が進行するものと考えられる.
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