2008 Fiscal Year Annual Research Report
過冷却液体からの凝固過程における原子ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
19360346
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
正木 匡彦 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 講師 (00360719)
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Keywords | 高温融体 / 液体構造 / レビテーション / 微小重力 |
Research Abstract |
本年度は、以下に示す研究を行った。 1)二成分混合系の融体物性の測定と融体構造の解明 静電浮遊法と液滴振動法を組み合わせることにより、ジルコニウム-ニオブ合金液体およびシリコン-ゲルマニウム合金液体の粘性・表面張力・密度を測定し、液体合金内の化学結合の有無や液体構造との関連を調べた。ジルコニウム-ニオブ合金の場合、合金組成に対して、粘性・表面張力・密度はほぼ直線的に変化し、純粋状態の物性の線形則により物性がよく表されることが明らかになった。また、シリコン-ゲルマニウムに関しても同様に純粋状態の物性からの線形則により物性が表されることが明らかになった。しかしながら、シリコン系の合金においては、静電浮遊法により加熱溶融した場合に蒸発の影響が強く現れることから、今後その対策を考慮する必要があることが判明した。 2)過冷却液体シリコンの原子ダイナミクスの解析 SPring-8の高分解能X線非弾性散乱装置により測定した過冷却液体シリコンの動的構造因子を元に、古典分子動力学をもちいて原子ダイナミクスの解析を行った。単純な二体近似の原子間ポテンシャルを用いた分子動力学計算では、液体シリコンの動的構造をうまく表せないことが明らかになった。今後、多体のポテンシャルや第一原理計算などを併用し、その特徴を詳細に調べる。
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