Research Abstract |
本研究の最終目的は, ナノサイズのMOR型ゼオライト(モルデナイト)の開発と, 2, 6-ジメチルナフタレン(2, 6-DMN)をナフタレンとメタノールから選択的に合成することである. 研究者らが考案した水/界面活性剤/有機溶媒を活用してゼオライト合成法により, モルデナイトのナノクリスタルの合成を実施した.SiとAl源を含む母液水溶液を界面活性剤/有機溶媒溶液に滴下し, マイクロエマルション状態を形成させた. そしてゼオライト母液水溶液/界面活性剤/有機溶媒を150℃で120時間水熱合成することでモルデナイトの合成を実施した. その結果, 界面活性剤濃度を変化させることにより, 固体酸特性, 細孔構造は均一であるが, 結晶サイズが約50ナノメートル〜500ナノメートルの範囲で制御されたモルデナイトの合成に成功した. 2, 6-DMNの合成実験を, モルデナイト結晶サイズの影響, および結晶外表面酸点不活性化処理, の観点から検討した. ナノサイズのモルデナイトとマイクロサイズのモルデナイト, それぞれの結晶外表面酸点を有機シラン系化合物(ジフェニルメチルシラン, ジフェニルシラン)によって不活性化し, 触媒として用いた. 結晶外表面酸点を不活性化したナノサイズのモルデナイト触媒を用いた場合, 2, 6-DMNを含むβ, β-DMNの選択率の向上と, 触媒活性劣化の抑制が可能であることを明らかにした. 最後に, ナノサイズのモルデナイトを基材とした薄膜型の構造体触媒の開発を検討した. その結果, 同モルデナイトナノクリスタルをアルミナフィルターに積層させ, さらにナノクリスタル層の上部に再度モルデナイトを形成させた2層構造からなるモルデナイト膜の開発に成功した. 同モルデナイト2層構造膜は, 水/イソプロパノール系の分離実験において水のみを選択的に分離できる分子選択的篩い分け能を有することを確認した.
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