2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞集積型・次世代マイクロリアクタ・システムの構築
Project/Area Number |
19360358
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 猛央 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 教授 (30272363)
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Keywords | マイクロリアクタ / 人工細胞 / 協調システム / 集積システム / グラフト重合 / pH・分子認識ゲート / ノイズキャンセリング / 酵素反応 |
Research Abstract |
生体の細胞が持つ、リズミカルな反応制御や外部濃度変化に対する環境応答を人工的に実現するシステムを目指して、環境応答型マイクロカプセルの開発を行った。マイクロカプセルのシェル部分に環境応答ポリマーをグラフト重合させ、コア部分に酵素を導入することで、人工細胞に見立てた環境応答型マイクロカプセルを作成した。環境応答グラフトポリマーや内部に封入する酵素を変えることで任意の環境応答性や反応性を持つマイクロカプセルを調整することが出来る。本研究においては、K^+イオンの濃度に応答してグルコース産出量を変化させるマイクロカプセル、pHのわずかな差に応答してグルコースの消費量を変化させるマイクロカプセル、そしてグルコースの濃度に応答して物質の透過性を応答性を変化させるグラフト膜の開発を行った。これら作成した複数のマイクロカプセルは1つのマイクロカプセルの反応生成物が、逐次的に次のマイクロカプセルで反応、もしくはシグナルとして働くように設計してあり、生体内における細胞間シグナル伝達に相当するシステムの要素技術を実現している。さらにこれら複数のマイクロカプセルを連携させることで、従来の固定床型反応器では実現が困難な機能、例えば外部濃度の急激な変化に対して応答を和らげるようなノイズキャンセリング機能を実現できることを、数値シミュレーションにより証明した。シミュレーションの各パラメータに各マイクロカプセルから実験値として得られた値を用いることで計算の信頼性を充分に高めており、生体系に特徴的な階層的反応系が本システムを用いて実現可能であることを示した。この結果は人工材料でもシステム的なアプローチを駆使することで生体の高機能に迫ることが可能であることを示しており、その工学的重要性は高い。
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