2009 Fiscal Year Annual Research Report
高活性シフト触媒と中温作動プロトン伝導体による新規水素製造-分離法の検討
Project/Area Number |
19360366
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 浩一 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (00168775)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 敏明 京都大学, 工学研究科, 講師 (90378802)
|
Keywords | 水素ポンプ / 中温作動 / COシフト反応 / 無機酸素酸塩 / 水素製造 / 複合酸化物 |
Research Abstract |
昨年度、アノードにPt触媒を用いたセルについて、加湿COから電気化学的にH_2を生成・分離できることが明らかとなった。しかし、そのアノード反応過電圧は非常に大きく、Pt触媒のみでは加湿COから大量の水素を製造することは困難である。そこで、本年度は200℃付近で水性ガスシフト反応に活性を有するスピネル型酸化物触媒を使用して、加湿COから触媒反応によりH_2を生成し、電気化学的に分離する手法を検討した。スピネル触媒を搭載した改質器をアノードガス流路の上流に設置し、シフト反応後のガスをセルへ供給した。改質器へ供給する加湿COガスの流速を低下させ、空間速度を小さくすると、シフト反応が進行するため、アノード過電圧は減少した。また改質器の温度を100℃、200℃、250℃と設定し、アノード過電圧を評価した。100℃および200℃の場合、改質器を使用しない場合と同程度の過電圧を示したことから、200℃以下においてスピネル触媒上でほとんどシフト反応が進行していないことが示唆された。250℃の場合、定電流密度域でアノード過電圧の低減が認められ、改質器が有効であることが分かった。しかし、高電流密度域になると改質器を使用しない場合よりも高い過電圧を示した。次に、スピネル触媒とPt触媒の2層から成る複合電極をアノードに使用し、その過電圧を測定した。電極に塗布できるスピネル触媒の量は少ないため、触媒的なシフト反応における空間速度は非常に大きくなった。しかし、改質器を使用した場合と同様に、複合電極を用いたセルにおいても低電流密度域で、アノード過電圧の低下が確認された。通電する電流密度を大きくすると、電極の多孔性が十分でないため、ガス拡散が阻害され、大きな過電圧が認められた。以上の結果より、シフト反応用触媒の設置位置や電極微構造を最適化することにより、加湿COからのH_2の製造・分離をより効率的に行うことが可能であると考えられる。
|