Research Abstract |
高活性な可視光応答型光触媒の開発をめざして、硫化物のような非酸化物や酸化鉄のような酸化物の新規合成を精力的に行った。窒素と炭素をZnS中に取り込んだ光触媒(N,C-ドープZnS),ナノタワー型の硫化カドミウム,マクロ球状型やナノシート型の酸化鉄(Fe_2O_3),窒素か炭素または両方をTiO_2中に取り込んだ,ミクロ球状光触媒(N-,C-,N,C-ドープTiO_2)などである。さらに,22nmおよび15nmの平均粒径をもつ金,銀ナノ球状粒子の迅速かつシンプルな合成法を,溶媒として“緑茶"を用いて開発することに成功した。さらに,同様な方法を駆使して,細孔が多く表面積の高い酸化鉄の合成に成功した。 可視光応答型薄膜状光触媒を用いて開発した太陽電池の中で,最も有望だったのは酸化鉄を用いたものだった。そこで,効率向上を目指して,酸化鉄膜上にケイ素(Si)薄膜を蒸着した。酸化を防ぐ意図で水素化したケイ素(SiH)も用いた。効率向上が見られたが,まだ充分ではなかった。これは,ケイ素が酸化されやすいためであり,今後の課題である。 開発中の太陽電池は,電解質溶液を用いるので湿式型と呼ばれ,固体化の研究が急務である。そこで,固体型太陽電池研究用としてこれまで広く研究されているCuIに代わるものとして,SiCを新規の材料として用い,結晶阻害剤として複数のイオン性液体と併用することで,酸化鉄型太陽電池の固体化と効率向上に寄与することを発見した。 本研究で新しく発見・開発した光触媒および金属ナノ粒子等を用いた太陽電池や水素発生系の材料としての評価や改良,課題等について,本研究終了後も引き続き努力を傾注しているとこるである。
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