2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロトプラストの機能を高度利用した新規機能性物質の創製と利用
Project/Area Number |
19360370
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青柳 秀紀 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (00251025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富崎 英一郎 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40273594)
田中 秀夫 筑波大学, 名誉教授 (40015657)
|
Keywords | 微生物プロトプラスト / 植物プロトプラスト / 人工細胞壁 / 細胞壁成分 / タキソール / メタボロミクス / バイオリアクーダニー / 有用代謝産物 |
Research Abstract |
細胞に代わる有用物質生産の新たな担い手として、微生物や植物の細胞の細胞膜の外側にある細胞壁を除去したプロトプラストに着目し、プロトプラストの機能を高度利用した新規機能性物質の創製と利用を目指し、本研究を遂行した。 昨年度に続き、微生物プロトプラストのモデルとして、パン酵母を対象に、細胞壁を除去した場合の物質移動速度や移動物質の種類や変動を解析すると伴にメタボロミクス解析を行った。細胞壁成分の実用的生産を目指し、プロトプラストが低張液中で破砕する性質に着目し、蒸留水で処理してプロトプラストを破砕し、簡便に細胞壁成分のみに純化し回収する方法を開発した(抽出に薬品やエネルギーが不要)。また、セル内の均一混合が可能な特殊蛍光光度計を用い、蛍光染色した細胞壁成分の蛍光強度を測定する事で、細胞壁成分の量を簡便に測定する方法を開発した。開発した手法を用い、種々の培養条件について検討した結果、プロトプラストの濃度、培地のpH、浸透圧、補因子の添加、培養温度や培養液の振とう等の条件が細胞壁成分の生産量や品質に影響を及ぼす事が示唆された。また、スケールアップした系でも良好に細胞壁成分が分泌生産され、本系が細胞壁成分の新規生産法として有用である事が示された。 植物プロトプラストのモデルとして、木本性植物のイチイの培養細胞および植物体の葉から作製したプロトプラストを用い、細胞から細胞壁を除去した場合の物質移動速度や移動物質の種類や変動を解析した。その結果、細胞壁を除去したプロトプラストでは、通常の細胞では細胞壁近傍に微量にしか存在しないタキソールなどのタキサン系化合物の分泌生産が促進されることを明らかにした。この現象はエチレン等のナノバブルおよびマイクロバブルを供給する事によりさらに促進される事を見出した。
|