2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ技術を駆使して標的細胞を殺傷または活性化する治療戦略の深化
Project/Area Number |
19360378
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小林 猛 Chubu University, 応用生物学部, 教授 (10043324)
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Keywords | 癌 / バイオテクノロジー / 生物・生体工学 / 温熱療法 / 加温 |
Research Abstract |
(1)がんの温熱療法の効果を高めるためのイミキモド投与との併用効果 イミキモドは自然免疫に関連した樹状細胞のTLR7に結合し、IL-12を誘導生産し、さらにキラーT細胞やNK細胞を活性化する。この効果は、温熱療法によるがん特有の免疫活性の賦活メカニズムと組み合わせることによって強い併用効果が引き起こされる可能性が高い。実際に、マウスを用いたメラノーマの動物モデルで大変に高い併用効果があることが認められた。イミキモドはウイルスの治療用に臨床応用されている薬剤であり、温熱治療との併用効果はがん治療にも有用であると期待される。 (2)がんの温熱療法の臨床研究の促進 磁性微粒子を用いたがんの温熱療法を実際に臨床応用するための検討を推進した。磁性微粒子のGMP基準による調製方法を確立し、毒性試験などを行った。これらの成果を基にして、共同研究をしている名古屋大学医学部の倫理委員会で臨床研究の承認を得た。そして、2人の患者に対して温熱治療が実施された。また、同様の手続きを経て、戸畑共立病院がん治療センターでも1人の患者に対して温熱治療が実施された。現在、経過観察中である。 (3)MRIを使用した転移腫瘍部位の早期診断への応用 磁性ナノ粒子の調製法として高温熱分解法を検討し、平均粒子系が5nmのマグネタイトナノ粒子を得た。さらにMannich反応を用いてγ-アミノ酪酸で修飾し、腫瘍細胞に対する抗体Herceptinを結合させた。2型ヒト上皮成長因子受容体(HER2)を強発現した乳がん細胞では選択的な取り込みが認められ、100μg/mlのマグネタイト濃度であった。MRIを使用すると、1μg/ml以上のマグネタイト濃度で検出可能であり、充分に転移腫瘍部位の早期診断に応用可能であることが分かった。
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