2007 Fiscal Year Annual Research Report
地球高層中性大気のグローバル・リモートセンシング技術に関する研究
Project/Area Number |
19360386
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
國中 均 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 教授 (60234465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 和孝 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (60342622)
細田 聡史 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 招聘研究員 (70423598)
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Keywords | リモートセンシング / 高速中性粒子 / イオンエンジン / 大気圏再突入 / 宇宙実証 |
Research Abstract |
高度100kmから1,000kmの地球超高層大気は、中性粒子がその大多数を占める。しかし、応答性が低いために、電波やレーザ等による遠隔観測が実施できない。中性大気に関する、地球規模広域で高い空間・時間分解のあるデータが蓄積されれば、宇宙環境における地球環境モニタが可能になるとともに、新しい科学分野が構築される。また低軌道衛星運用に役立つ宇宙大気の速報値を提供できて、さらに宇宙天気予報が可能になり、世界に貢献できる技術となる。この技術は、地球のみに留まらず、火星や金星への応用も期待できる。研究代表者らは、「はやぶさ」小惑星探査機の主推進機関として開発に成功し,十分な宇宙作動実績を積んだマイクロ波放電式イオンエンジンを用いて,そのイオンビームを能動的に利用して高層中性大気の遠隔観測法を着想するに至った。イオンエンジンを地球周回で用いる場合、放射されたイオンビームは地球磁場に捕らえられ、ラーマー旋回しながら、高緯度領域の高層大気深部に侵入して、大気との電荷交換により中性粒子に戻り、地磁場に影響されず慣性飛行して地球を脱出して失われる。既知の速度・時刻・場所から放射された、自然界では稀な粒子種のイオンを用いて、後天的に変換された高速中性粒子を遠方から観測すれば、高層中性大気の組成・密度・空間・時間分布を捕らえることができる。クリプトンイオンは、高層大気の主成分である原子状酸素と選択的に反応する性質を持ち、また自然界には稀にしか存在しないため、観測用トレーサとして最適である。 本年度は,微量の高速中性粒子を高感度で検出可能なデバイスの検討と基礎実験に重点をおいた。検討の結果,半導体粒子検出器,電荷増倍型検出器および蛍光X線検出器の三種を候補として,アバランシュ・フォトダイオード,マイクロチャンネルプレート及びシリコンPINフォト検出器を入手し、基本性能を確認した。
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