2008 Fiscal Year Annual Research Report
音響エネルギ回生手法に基づくフェアリング音響低減システムの研究
Project/Area Number |
19360387
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
峯杉 賢治 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部宇宙構造・材料工学研究系, 准教授 (90239327)
|
Keywords | ロケット / 音響制御 / エネルギ回生 / 準能動的制振 / 圧電素子 |
Research Abstract |
昨年度製作したハニカムサンドイッチ板の供試体を用いた音響低減制御実験を行った。まず、供試体の有限要素数学モデルを作成し、動特性の推定を行った。次に、供試体を音響発生源と反響室からなる実験系に固定して音響加振を行い、実際の動特性を取得し、数学モデルと有意な差異がないことを確認した。この供試体の表及び裏側の表面板に複数の圧電素子を貼り付けた。圧電素子は表面と裏面の同じ位置で一対となるように貼り付け、合計20対の圧電素子を用いた。貼り付け位置は過去の振動制御実験の結果に基づいて決めた。これらの圧電素子群に制御用のアナログ回路を結合し、圧電素子の蓄えられる電荷を準能動的に制御することで、供試体を透過する音響を低減する実験を行った。その結果、以下の知見が得られた。 1.供試体の面外振動を抑制するように、準能動的制振を適用することにより、ハニカムサンドイッチ板である供試体を透過する音響を低減できることを確認した。 2.理論的に示されていた、複数の圧電素子をより直列になるようなつなぎ方が並列になるようなつなぎ方に比較して音響の低減率が高くなることを、実験的に確認した。 3.従来、つなぎ方の直列度を高めると発生していた制御性能の劣化が、計測系等による圧電素子の電荷の漏れ出しであることを種々の検証実験で突き止め、それを極力抑えることで、2項で示した制御性能の特性の検証が可能となった。 4.供試体を透過する音響の低減率と供試体の面外振動の減少率との間に線形な相関関係があることを確認した。 本実験により、ロケットのノーズフェアリングや衛星構体で多用されているハニカムサンドイッチ板に圧電素子を用いた準能動的制御を適用することで透過音響が低減可能であることが検証され、航空宇宙分野だけでなく、音響が問題となる分野に寄与するものと思われる。尚、本結果は現在論文にして投稿中である。
|