2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙機搭載の低温下で動作する、推進系統合型燃料電池の開発
Project/Area Number |
19360388
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
川口 淳一郎 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 教授 (10169691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 理嗣 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (70373438)
羽生 宏人 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助教 (60353421)
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Keywords | 燃料電池 / 統合型 / 推進機関 / 宇宙機 / 触媒 |
Research Abstract |
推進系統合型燃料電池では凝固点の低い燃料および酸化剤を用いた探査機の推進系としての機能を有すると同時に、これに適用する燃料と酸化剤がそのまま燃料電池を動作させる。推進系として起動させる場合は、燃料と酸化剤の接触および混合が適切に行われる必要がある。燃料と酸化剤の低温時の反応特性については実験的な評価を行った。推進剤の反応特性を調べるために一般的に行われるオープンカップ試験を行ったところ、単純な量液の滴下だけでは発煙を伴う鈍い反応に留まり、発火しないことが判明した。滴下試験において両液の接触方法に改良を加えて発火特性について検証したところ、滴下部にステンレスメッシュなどの干渉物質を設置すると-50℃の低温反応時の着火遅れ時間を130ms程度に短縮させることが可能であることを見出した。この実験結果に基づくと、推進剤を燃焼室に噴射するインジェクタからの液の噴射と衝突の形態を工夫することで低温での自己着火性が改善されることが期待できる。本研究では、インジェクタを2種試作し初期検討段階として水を使った噴射試験を行った。試作したインジェクタは異種混合型を適用している。燃料と酸化剤の両液体の混合の促進を目的とする霧化混合型と、噴射液体同士の衝突によって液を微粒化させる衝突型をそれぞれ試作した。水流し試験の結果、いずれも設計通りの機能を発現しており、機能的に問題はなかった。燃焼器にこれらのインジェクタを設置して発火試験を行うことにより燃焼特性、推進特牲の評価を行うことが可能となった。 -50℃以下の凝固点を有する当該燃料と酸化剤を用いた燃料電池は発電機能を有することが確認できており、試験結果に基づいたシステム設計を開始し、構成部品の選定を進めた。推進系が成立と併行して作業を進め、推進系統合型燃料電池システムの基礎技術の成立に見通しが立つこととなる。
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