2009 Fiscal Year Annual Research Report
津波発生時の船舶・浮体式構造物を対象とした沿岸域ハザードマップの開発
Project/Area Number |
19360399
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 光一 Nihon University, 理工学部, 教授 (10120552)
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Keywords | 津波 / 浮体式構造物 / 船舶乗り上がり / 産業防災計画(BCM) / MPS法 / ハザードマップ / コンテナ流出 / 清水港 |
Research Abstract |
沿岸海域および陸域において数値シミュレーションに基づいた津波被災の減災に有用な先駆的沿岸域ハザードマップの構築を目的に,本研究を実施した。津波被害予測については,粒子法であるMPS法による船舶の陸への乗り上げと,トラックやコンテナの漂流シミュレーションを可能として,被害予測を実施した。また,他のCFD計算により津波伝播計算をより高精度で実施可能な環境を整備した。その手法として長波近似した水波の伝播を行い,その波による船舶の挙動計算を同時に可能なものとした。津波伝播は日本太平洋岸の大領域から駿河湾領域と清水港領域をネスティングしたセル分割で一気に計算できるようにした。これらの数値計算による被害予測シミュレーションと並行して,Business Continuity Management(BCM)での利用を念頭に置いた,港湾における津波ハザードマップの開発を試みた。津波の物理的状況を情報とすることは勿論のこと,船舶座礁やコンテナ流出による航路閉塞の可能性についてハザードマップで考慮するなどして,BCMを強く意識した,これまでにないハザードマップのコンセプトを提案し,その基礎となるハザードマップを開発した。 本研究により,津波による船舶乗り上げや座礁,コンテナ流出や港湾陸上施設の津波被害を予測する技術が開発された。これらの計算技術や検討例は,これまでほとんど実例がなかったものであり,本研究の成果が社会的に極めて有用なものであるといえる。さらに,これらの災害・被災予測結果が港湾を利用する産業にどのような影響を与えるのか,また,被災した時の流通の混乱を以下に最小とするかといったBCMの観点から利用できることを意識したハザードマップを開発した。単なる被害でなく,ハザードマップの利用拡大に貢献できると思われる。
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