Research Abstract |
本研究の目的は,一般的地圧条件におけるき裂の力学的挙動に及ぼすき裂寸法の影響を実験的に明らかにし,測定した間隙分布を基にき裂の力学的挙動とその寸法効果のメカニズムを解明し,与えられた地殻応力条件で現実的な寸法のき裂がどのような透水性を示すのかを明らかにすることである. 本年度は,まず,3種類の寸法の引張き裂を花崗岩に作成し,前年度に作製した一面せん断試験装置を用いて垂直応力が一定のせん断試験を実施し,途中で何回か除荷することにより,せん断過程におけるき裂面形状や垂直・せん断剛性等の変化を調べた.その結果,間隙の標準偏差がき裂寸法およびせん断変位とともに増加すること,従って,き裂閉鎖の非線形性がせん断変位とともに増加すること,さらには,せん断変位が小さい場合,せん断剛性はき裂寸法とともに小さくなるのに対し,せん断変位が大きな残留強度の領域では,せん断剛性がき裂寸法とともに大きくなることを明らかにした.また,せん断変形に伴って波長の小さな突起が破壊し,せん断変位に垂直な方向に破壊領域が形成されることも明らかにした.次に,これまでの研究成果を用いて,き裂の透水性(水理学的間隙)を,平均間隙,き裂間隙の標準偏差,せん断変位ならびにせん断変位と巨視的水の流れ方向のなす角の関数として定式化し,巨視的水の流れ方向が最大主応力方向と中間主応力方向の場合について,主応力軸と任意の傾きをもつき裂の透水性を解析し,与えた応力条件では,最小主応力からの傾斜角がほぼ一定のき裂で透水性が極大となること,この傾斜角はせん断変位が大きくなるほど小さくなること,さらには,せん断き裂の透水性の異方性のために,最大の透水性を示すき裂は,そのせん断変位が巨視的水の流れ方向と直交する場合であることなどを明らかにした.
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