Research Abstract |
埋立終了後の一般廃棄物埋立地における,水分移動状態,安定化状況の把握を行った。この埋立地は浸出水集排水管の不連続,ガス抜き管の本数の不足、埋立地周辺からの地下水流入などの構造上の不備をもち,集水井やガス抜き管め設置などが行われている。新設のガス抜き管18箇所を対象に,管内水位の測定,管内水の採水・分析を行った。 ガス抜き管にトレーサとしてNaClを投入し,その濃度変化よりガス抜き管断面における埋立地内水分移動速度を推定した。管内水はトレーサ注入前後に混合し,水位が高い場合は深さ方向に分割して採水した。その結果,滞水量,水分移動速度ともに埋立地中心部で大きいことがわかった。すなわち当該埋立地は沢筋に建設されており,旧沢を中心に水がたまり,浸出水が流れている。また,深さ方向を比べると,上部ほど流速が大きい。ガス抜き管ごとの平均流速に横方向の面積を乗じた総流量は,浸出水処理量とほぼ同じであり,流量推定は精度よく行われている。 過去の分析値を含めて,TOC, TNの経時的変化を検討した。いずれの井戸も設置後10か月程度経過後にTOC,T-Nともに急激に減少し,その後変化は見られない。濃度低下が夏に始まっていることから,ガス抜き管周辺の不飽和層で好気性分解が進んだと考えられる。管内水の上部ほど流量が大きいことは,不飽和層からの流入量が飽和層内のそれより大きいことを示しており,飽和層は十分に洗い出されていると考えると,ガス抜き管内水の濃度変化は不飽和層のTOC, T-N濃度を反映している。ただし,浸出水原水の濃度には変化がなく,安定化しているのはガス抜き管周囲の限られた範囲のみである。
|