2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子水溶液ジェットを用いた重粒子線グラッグピーク領域での放射線照射効果の解明
Project/Area Number |
19360427
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 秋男 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (90243055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 秀次 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50304150)
大澤 大輔 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助教 (90324681)
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Keywords | 液体分子線 / イオン照射 / 生体細胞 / 阻止能 / 二次電子 |
Research Abstract |
本研究は、生体分子水溶認液標的に対するイオンビーム照射効果を探求し、その研究成果を放射線治療を始めとする生命・生物系での新展開を支える基礎データの提供を目的としており、21年度は主として下記3課題について実施した。 (A)可動式μイオンビームの形成技術の確立、(B)二次イオンの質量分布・二次電子のエネルギ分布の測定、(C)MeV領域での阻止能測定。 A)に関する実績 直径数十ミクロンの液体ジェット標的に効率よくイオンビームを照射するため、最も簡便な方法として「ガラスキャピラリ方式」によるμビーム化を行った。水素~炭素イオンビームを用いて液柱透過後のイオンビームの諸特性を詳細に調べた。エネルギ分布およびビームスポットサイズを実測し、最適条件を決定することができた。 B)に関する実績 濃度の異なるNaCl水溶液からの二次イオンを世界初の実験データとして論文にまとめることができた。更に、アミノ酸分子を気体標的とした電離断面積積を測定し、国際会議等での発表を行うと共に論文として作成中である。 C)に関する実績 応用上最も重要な水素イオンとヘリウムイオンに対する阻止能データを測定することができた。測定値は基本的なデータベースとして世界的に認められ、これまでの簡便な計算コードの修正をせまるまでの高い評価を得ている。 総括として、本手法により、固体・気体標的を用いた従来型研究からは不可能であった多くの新しい研究を切り開くことができ、今後の液体物性研究の新展開への大きなステップを構築することができた。
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