2009 Fiscal Year Annual Research Report
核変換研究のための高速中性子捕獲微分断面積の高精度測定技術の開発
Project/Area Number |
19360431
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
原田 秀郎 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (80421460)
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Keywords | 核データ / 中性子捕獲断面積 / 高速中性子 / LaBr3 |
Research Abstract |
原子力発電により発生する放射性廃棄物核種を中性子により処理する技術の有効性を定量的に把握するためには、対象となる放射性廃棄物核種に対する信頼性の高い中性子捕獲断面積が必要である。ところが、高速中性子領域の中性子捕獲断面積は、測定の困難さにより整備が遅れている。本研究は、新世代のガンマ線検出器であるLaBr_3検出器を中性子捕獲断面積の測定に適用し、高速中性子に対する中性子捕獲断面積の測定精度を飛躍的に向上できる測定技術の開発に資することを目的とする。 最終年度となる平成21年度は、これまでに取得した小型LaBr_3検出器のエネルギー分解能や応答関数の情報をモンテカルロシミュレーション計算の入力情報として用いることにより、LaBr3検出器で構成される全立体角型のスペクトロメータ性能を評価した。Ag-107及びAg-109を含む天然Agをサンプルとした模擬実験をシミュレートした結果、LaBr_3ベースの全立体角型スペクトロメータは、Ag-107とAg-109からの中性子捕獲事象を高い分解能で分離可能であることを定量的に示した。この分解能は米国のロスアラモス国立研究所や欧州セルン研究所で採用されているBaF_2検出器を用いたスペクトロメータよりも1桁高い分解能であり、LaBr_3全立体角型スペクトロメータが、高速中性子捕獲微分断面積の測定に強力なツールとなることを示した。 一方、実際に中性子捕獲反応断面積測定に適用した場合の問題点を把握するため、京都大学原子炉実験所の電子線形加速器施設のパルス中性子を用い、小型LaBr_3検出器による中性子捕獲反応の測定を実施した。この結果、中性子捕獲反応断面積測定に適用した場合の技術的課題について、知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)