2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒改質を用いた廃プラスチックからの小規模な水素製造の実証研究
Project/Area Number |
19360435
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 邦夫 Tokyo Institute of Technology, フロンティア研究センター, 教授 (70134848)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 新エネルギー / 水素 / 廃棄物再資源化 / 廃プラスチック / 水蒸気改質 / 熱分解 |
Research Abstract |
本研究では、廃プラスチックを熱分解炉に供給し、得られるガス状の熱分解生成物を、Ru触媒が充填され、加熱された改質炉に水蒸気と共に供給し、改質反応を生じさせることによって、小規模な設備で水素リッチな燃料ガスを製造する新たなプロセスを検討した。 最初に、60g/h規模の小型連続式2段熱分解ガス化・接触改質装置を製作し、ポリプロピレンのガス化・改質特性に及ぼす運転条件の影響について調べた。操作パラメータとして、触媒担持量、熱分解炉温度、改質炉温度、接触時間の影響を評価した。今回行なった実験条件の範囲内においては、熱分解温度は400K、触媒担持量は5wt%が最適であり、水素濃度が70%を超える水素リッチな燃料ガスの生成に成功した。改質温度は、接触時間を4.41×10^6(g-cat・s/mol)に設定することで、853Kまで下げることができた。 次に、粒径が100μ程度の触媒を用いて、Ru触媒を用いた場合の模擬物質の水蒸気改質反応速度解析を行った。模擬物質は既往研究の結果を参考として、ポリプロピレン熱分解油を代表する成分n-Nonaneを用いた。実験結果より、n-Nonaneと水蒸気が反応し、 CO_2とH_2が生成する総括化学反応モデルを仮定し、反応成分の分圧のべき乗数で表される経験式を導出した。 最後に、得られた反応モデルを組み込んだ改質炉シミュレーションを行い、圧力損失、放熱損失を無視した理想条件における実証プラントの操作パラメータの最適化を行った。その結果、既存の水素製造方法に比べ、Ru触媒を用いることで改質温度を400K下げながら、ほぼ全量の炭素をガス状生成物に変換できることがわかった。
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