Research Abstract |
本研究では、バイオマス資源から水素製造を行うことを目的とし、これまで民間企業と研究開発を実施してきたガス化プロセス(BTプロセス)について,原料の種類による燃料電池用燃料の水素製造ポテンシャルを評価するため,以下の事項について本年度は実施した. 1.H2回収試験装置の設計及び製作 本研究において、化学的な知見を把握すべく、当該プロセスを勘案した試験装置(熱天秤(既設)+改質器(反応管のみ新規作成)+ガス吸着装置(PSA反応器、新規作成)+ガスクロマトグラフを設計製作し,熱分解特性,ガス化特性,水素吸着特性を把握した. 2.関連研究による試料による当該試験装置の試験 上記試験装置に対して、本年度は,油中乾燥を行った牛糞及びニンジン粕について試験を実施した.本試験においては,工業分析,元素分析等の基礎データの収集を行うと同時に,改質温度950℃,スチームと原料中のカーボンモル比が1以上となるように水を投入し試験を行った.この結果,牛糞については,H2:CH4:CO=3.12:0.45:1となり,ニンジン粕については,H2:CH4:CO==2.83:0.45:1という結果が得られた.また,熱分解特性については,昇温速度の依存性について検討したが,いずれの原料も600K以上では,分解率の昇温速度の依存性は見られなかった. 3.水素吸着量の把握 モラキュラシーブを充填した吸着装置によりCOの脱着までの水素の回収量を検討した.この結果,牛糞とニンジン粕では明らかな違いが見られ,その回収効率は32%及び58%となった.このデータを用いて,実際のPSA運転条件に合わせた水素回収効率の検討を行った. 4.上記化学データに伴うプラントプロセスシミュレーション 上記の結果を用いて,当該プロセスの設計を行った.その結果,冷ガス効率は,74%(牛糞)及び82%(ニンジン粕),水素回収効率は,38%(牛糞,対合成ガス),68%(ニンジン粕,対合成ガス)となった.
|