2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA組換えにおける、相同性識別忠実度を支配する分子機構
Project/Area Number |
19370004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 武彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 柴田遺伝制御科学研究室, 上席研究員 (70087550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美川 務 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 専任研究員 (20321820)
井上 仁 独立行政法人理化学研究所, 柴田遺伝制御科学研究室, 協力研究員 (10469893)
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Keywords | ゲノム構築・機能・再編・発現・維持 / 相同DNA組換え / RecA / Rad51型相同的対合蛋白質 / 相同DNA組換え酵素 / 組換えメディエーター / ヘテロ二重鎖形成 / 並行三重鎖DNA / DNAトポロジー |
Research Abstract |
相同的組換えは、修復機能で遺伝情報恒常性維持に、有性生殖での機能で遺伝情報の多様化という相反する遺伝機能を担う。相同的組換えにおいて、塩基配列相同性識別が不正確では、ゲノムを壊してしまうが、正確すぎると遺伝的多様性を創り出せない。一対のDNA塩基配列相同性を識別し、ヘテロ二重鎖組換え中間体をつくる相同DNA対合蛋白質が、どのようにして数千塩基対にも及ぶ相同性を識別するのか、相同性識別の忠実度は何が支配しているのかを、分子反応のレベルで明らかにするのが本研究の当初の目的である。そこで高忠実度相同性識別を行なうRecA/Rad51型蛋白質と、ATP分解活性をもたず、識別が甘いと考えられるRec0,Rad52などの相同対合蛋白質とを比較解析している。生体内では、DNA二重鎖切断に続いて単鎖DNA領域ができると、RecA/Rad51の結合を阻害する単鎖DNA結合蛋白質(SSB/RPA)が結合する。RecA/Rad51をSSB/RPAで覆われた単鎖DNA領域へ載せるのが、Rec0,Rad52のもう一つの顔である組換えメディエーターである。組換えメディエーターの全てがATP不要の相同対合活性をもつが、意義は不明である。本年度途中で、やはりATPを必要としない酵母ミトコンドリアのMhr1が行う相同対合反応の産物がDループでないことが明らかになってきた。もしそれが正しいならばDループを前提に立てられた活性検定手段など計画を見直す必要が生じたため研究の執行を平成21年度に繰り越した。Mhr1についての研究の結果、Mhr1の反応産物はDループでなく三重鎖であることがほぼ明らかになった。さらに、Mhr1が行う相同対合反応については、周囲に左巻きの超らせんを生じるRecA/Rad51の場合と異なり、トポロジカルな影響を周囲に与えずに相同対合をおこなう、反応機構の本質に関わる意外なことが分かった。
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Research Products
(19 results)