2008 Fiscal Year Annual Research Report
エゾヤチネズミ個体群の遺伝的な空間構造に関わる個体数変動の効果
Project/Area Number |
19370006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 隆 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00183814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 光司 北海道大学, 名誉教授 (80002301)
石橋 靖幸 北海道大学, 独立行政法入森林総合研究所・北海道支所, 主任研究員 (80353580)
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Keywords | エゾヤチネズミ / 遺伝的空間構造 / 個体数変動 / ドリフト / 瓶首効果 |
Research Abstract |
エゾヤチネズミ個体群が構造化されるプロセスを明らかにすることを目的に大陸を含む陸塊間, 地域個体群間, 局所個体群間で個体群の構造を分析し, 個体群の構造化に関わる要因を分析した. 陸塊間の分析において, 海などの障壁に隔てられた場合には明瞭な遺伝的な分化が見られた. これは十分に予測されたことであり, 北海道のエゾヤチネズミ個体群はロシア沿海州から渡来し, 渡来後十分に長い時間を経ていることを裏付けた. 地域個体群間, 局所個体群間の分析結果は予測と大きく異なり, 動物個体群の構造化に関するこれまでの理解に見直しを迫る内容であった. 分布・定着後十分に長い時間を経ている動物個体群においては, 地理的に近い個体群間では遺伝的に類似し, 地理的に離れた個体群問では遺伝的距離が遠いというIsolation by Distance関係の存在が期待される. しかし, エゾヤチネズミでは, 地域個体群間においても, 局所個体群間においてもこの関係が確認されなかった. これは, 分析した距離スケールがエゾヤチネズミの移動能力を上回っていたために移動による遺伝的交流の効果が他の効果(例えば, 個体数の大変動による遺伝的浮動の効果)に打ち消されたためと考えられた.
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[Journal Article] Effects of acorn abundance on density dependence in a Japanese wood mouse (Apodemus speciosus) population2008
Author(s)
Saitoh T, Vik JO, Stenseth NC, Takanishi T, Hayakashi S, Ishida N, Ohmori M, Morita T, Uemura S, Kadomatsu M, Osawa J, Maekawa K
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Journal Title
Population Ecology 50
Pages: 159-167
Peer Reviewed
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