2008 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリ類のカスト分化を制御する遺伝的・生態的要因の解析
Project/Area Number |
19370009
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北出 理 Ibaraki University, 理学部, 准教授 (80302321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 清人 富山大学, 理工学研究部, 准教授 (20345557)
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Keywords | 社会性昆虫 / カスト決定 / カスト決定遺伝子 / ワーカー / ソルジャー |
Research Abstract |
本年度の研究から以下の結果が得られた。 (1) ニンフ・ワーカー分化の遺伝的カスト決定(GCD)モデルの検証 ヤマトシロアリで提唱したGCDモデルの検証のため、ヤエヤマシロアリと、豪州産のParrhinotermes queenslandicusとムカシシロアリを用いて交配実験と予備実験を行った。ヤエヤマシロアリでは、ヤマトシロアリとほぼ同一の遺伝的効果が交配実験で得られ、本属共通の1遺伝子座システムが確認できた。P. queenslandicusは生殖虫の維持が難しく、小数のコロニーでの予備的交配実験にとどまっているが明確な遺伝的影響は確認されていない。ムカシシロアリでは、飼育下で幼形生殖虫の分化に成功し、交配実験の準備が整った。 (2) カスト分化に及ぼす環境・遺伝要因の相互作用の解析 (1) 生殖虫との接触時期がニンフ・ワーカー分化に及ぼす影響について、誘導の決定的感受期はなく、期間が長いほど強いワーカー化がおこることがわかった。また生殖虫抽出物を用いた生物検定の準備を開始した。さらに両カストの複眼等の特異的形質の発生過程を詳細に明らかにした。 (2) ヤマトシロアリで, 初期コロニーからの雌雄各生殖虫の除去実験を行った。本種ではGCDモデルの予測通り、除去がニンフ生産の契機となり、さらに単為生殖の契機ともなることが明らかになった (3) ヤマトシロアリとネバダオオシロアリを用い、ソルジャー分化に与える他個体の影響とJH感受期を明らかにした。 (4) 西表島の調査の結果、ヤエヤマシロアリでは野外でワーカー型・ニンフ型幼形生殖虫が共存・近親交配している巣があり、その場合モデルの予測通りニンフの性比が大きく偏ることが確認された。 (3) シロアリにおけるカスト決定遺伝子座の探索 新たにヤマトシロアリと豪州産Coptotermes lacteusを用い、AFLPを用いた性・カスト特異的バンドの候補を特定した。
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Research Products
(30 results)