2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の環境ストレス応答における遺伝子発現制御とネットワーク解明
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19370016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠崎 和子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30221295)
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Keywords | 転写因子 / E3リガーゼ / ユビキチン化 / リポーター遺伝子 / 遺伝子破壊株 / マイクロアレイ / スプライシング |
Research Abstract |
本研究課題では,高温や水分ストレス応答で重要な機能を示すシロイヌナズナの転写因子DREB2Aが関与する遺伝子発現の制御ネットワークを分子レベルで解明することを目的として,DREB2Aタンパク質の活性化機構の解析や標的遺伝子や相同性遺伝子に関して研究を行った。 DREB2Aタンパク質の活性化機構の探索では,前年度までに単離したE3リガーゼをコードする遺伝子に関して解析を行い,DRIP1と名付けた。DRIP1タンパク質は特異的にDREB2Aタンパク質を認識してユビキチン化することをin vitroの系を用いて示した。また,DRIP1遺伝子はシロイヌナズナの葉や根等の植物体中で構成的に発現することやタンパク質は核中に存在することをGUSやGFP等のリポーター遺伝子を用いて示した。さらに高発現体を用いてDREB2Aの標的遺伝子の発現に変化があることを見出した。一方,活性型DREB2A形質転換体やDREB2A破壊株を用いてDREB2Aの標的遺伝子群の解析を行い過剰発現体で強く発現し,破壊株で弱く抑えられる遺伝子群をマイクロアレイや定量PCR法で同定した。これらの遺伝子はプロモーター中にDREB2Aの結合配列であるDREを持っており,直接の標的遺伝子と考えられた。前年度までにトウモロコシから単離しているDREB2A相同性遺伝子であるZmDREB2Aを用いて,その転写活性化の制御機構を解析した。ZmDREB2AはDREB2Aと異なり,完全長のcDNAをシロイヌナズナ中に導入することで転写活性能を示した。トウモロコシ中での発現を詳細に解析すると,ストレスのない状態ではスプライシングされていないmRNAが蓄秘していること,ストレス時には成熟したmRNAが増加することが示され,ストレス時のスプライシングが遺伝子発現に重要な機能を果たしているととが示きれた。
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