2009 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーインジェクションによる標的真核細胞およびオルガネラの遺伝子発現制御
Project/Area Number |
19370017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東山 哲也 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (00313205)
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Keywords | レーザーインジェクション / マイクロインジェクション / モルフォリノアンセチョセンスオリゴ / 植物培養細胞 / 雌性配偶体 / 花粉管ガイダンス / 遺伝子発現阻害 / 抗体 |
Research Abstract |
これまでに、植物の雌性配偶体細胞(トレニアの裸出胚嚢)へのモルフォリノアンチセンスオリゴのレーザーインジェクションにより、LURE遺伝子が胚嚢へのガイダンスを司る真の花粉管ガイダンス分子であることを示した。本年度は、LURE遺伝子の発現がどの程度抑制されているのか、定量的な解析を試みた。トレニアの組織を培養開始後すぐに、胚嚢へのインジェクションを行い、さらに1日間培養したのち、微小な胚珠組織を顕微操作により1つずつ回収した。個々の胚珠は、LUREを発現する助細胞を2つもつが、その胚珠組織からmRNAを精製し、安定してリアルタイムPCRを行う方法を開発した。その結果、アンチセンスオリゴを導入した胚珠特異的に、mRNAがほとんど検出されないほど減少していることが明らかとなった。アンチセンスオリゴは翻訳開始点と、スプライスドナー、スプライスアクセプターの3箇所に対するものを混合して導入している。したがって、スプライス阻害によりmRNAがナンセンスメディエイテッドmRNA崩壊(NMD)を受けている可能性が考えられる。また例えばLURE1を標的とした場合は、LURE2をはじめ、他の助細胞特異的遺伝子の発現は減少しないなど、標的遺伝子特異的に発現が減少していることも示唆された。モルフォリノアンチセンスオリゴによる遺伝子発現抑制が、トレニアの胚嚢で非常に良好にはたらいていることが示唆されたので、今後、トレニアの胚嚢をモデル系とした、ユニークな解析が展開されることが期待される。最終年度は、懸案となっている遺伝子発現について、解析を進める予定である。
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