2007 Fiscal Year Annual Research Report
気孔孔辺細胞におけるタイプ1プロテインフォスファターゼの機能に関する研究
Project/Area Number |
19370020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武宮 淳史 九州大学, 大学院理学研究院, 学術研究員 (80448406)
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Keywords | フォスファターゼ / 情報伝達 / 気孔 / リン酸化 / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
気孔孔辺細胞の青色光情報伝達系にタイプ1プロテインフォスファターゼがポジティブレギュレーターとして機能している事が示された。このフォスファターゼは通常制御サブユニットによって制御される事が知られているが、植物細胞ではまだこのサブユニットは得られておらず、動物細胞と同様の働きをするか、否かも不明である。本年度は、孔辺細胞を材料にしてtwo-hybrid法で複数の制御サブユニット取得し、気孔の情報伝達系に関与すると推測されるインヒビター3について詳細な解析を試みた。以下の成果が得られた。 1)得られたインヒビター3のアミノ酸配列は酵母やヒトのものと高い相同性を示し、タイプ1プロテインフォスファターゼとの結合モチーフである"RVxF"を持っていた。このモチーフのアミノ酸置換を行うと両者は結合しなくなった。 2)孔辺細胞には9個のタイプ1プロテインフォスファターゼのイソ酵素が発現していたが、いずれのイソ酵素とも程度は異なるが結合した。一方、他のフォスファターゼPP2A、PP4、PP5、PP6、PP7とはまったく結合しなかった。 3)組み換えタイプ1プロテインフォスファターゼに、組み換えインヒビター3を添加するとナノモルオーダでフォスファターゼ活性を強く阻害した。 4)GFPとの融合タンパク質は核と細胞質の両方に発現していた。 5)プロモータ解析よると維管束に、また、生化学的解析によって孔辺細胞には特に大量に、同時に葉肉細胞、茎、根にも発現が認められた。 6)インヒビター3の破壊株を取得し、機能解析をおこなった。ホモの状態で初めて変化が見られたが、胚発芽の段階で、致死になった。従って、インヒビター3は胚発生の過程で何らかの重要な働きをしていることが推定されたが、気孔の働きの変化を見る事は出来なかった。 現在、一過的な発現系、あるいは、誘導系を用いて気孔における機能解析を継続中である。
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