2008 Fiscal Year Annual Research Report
気孔孔辺細胞におけるタイプ1プロテインフォスファターゼの機能に関する研究
Project/Area Number |
19370020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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Keywords | フォスファターゼ / 情報伝達 / 気孔 / リン酸化 / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
タイプ1プロテインフォスファターゼの機能解析を行うため、Yeast two-hybridスクリーニングを行い複数の調節サブユニット候補を得た。その中で、インヒビター3は上記フォスファターゼ活性を強く阻害する事から、青色光情報伝達系に関与する有力候補として機能解析を行ったが、その変異体は致死になってしまった。これを詳しくみると、インヒビター3は胚発生において重要な働きを担っているが、このタンパク質が破壊されると脱リン酸化活性の制御が不能になり、植物が致死すると推定された。 一方、その他の調節サブユニット候補のなかで、気孔の青色光情報伝達系に関与すると思われるものを見つけた。このタンパク質は、アミノ酸275個からなる小さなタンパク質でN-末にRVxFモチーフ、C-末にGRAMドメインを有していたが具体的な働きは不明であった。このタンパク質はタイプ1プロテインフォスファターゼと結合したが、その他のクラスのフォスファターゼ触媒サブユニットとは結合しなかった。次に、機能解析のためシロイヌナズナの変異体を用いた。シロイヌナズナにはこのタンパク質のオーソログが2つ存在した。これらにPRS2AとPRS2B(Rhosphatase Regulatory Subunit)と名づけた。この変異体の表現型を調べると、変異株prs2bでは青色光による気孔開口と孔辺細胞プロトプラストにおけるプロトン放出が約50%阻害されていた。しかし、変異株prs2aの表現型は野生型と大差なかった。 二重変異体pzs2a prs2pはprs2bよりわずかに強く青色光依存の気孔開口が抑制された。以上から、PRS2AとPRS2Bはタイプ1プロテインフオスファターゼの調節サブユニットとして働き、孔辺細胞の青色光情報伝達系で機能していると推定された。しかし、二重変異体でも抑制が100%でないので、別のものが存在する可能性は否定できない。
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