2008 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体翻訳系に於ける5'非翻訳領域とコード領域の適合性を決める要因の探索
Project/Area Number |
19370021
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉浦 昌弘 Nagoya City University, 大学院・システム自然科学研究科, 名誉教授 (80027044)
|
Keywords | 葉緑体 / mRNA / 翻訳 / 5'UTR / コード領域 / In vitro / タバコ / 適合配列 |
Research Abstract |
葉緑体mRNAの翻訳開始に、5'非翻訳領域(5'UTR)と共にタンパク質コード領域も関与するという「5'UTRとコード領域の適合性」の仮説を検証するため、我々の高活性タバコ葉緑体in vitro翻訳系を用いて実験した。1.psbA mRNAを用いて適合性に関与する配列の探索(中邨、湯川) psbA mRNAのD1コード領域に葉緑体では翻訳できない外来遺伝子TATを結合して、Dlコード領域を3'末から欠失させ、TATを翻訳可能とさせるDlコード領域としてN末端から30コドンが最適であることを明らかにした。2.psbA mRNAやpsbN mRNAなどの翻訳のトランス因子の同定(黒田) 光化学系IIのサブユニットをコードするpsbAとpsbNおよびリボソームタンパク質をコードするrps2の5'UTR内のシス配列に作用するトランス因子をタバコ葉緑体よりRNAカラムで精製した。得られたタンパク質群のアミノ酸配列分析から、rps2mRNAのトランス因子はリボソームタンパク質S1であることを明らかにした。他の解析は完了していない。 3.ndhC-ndhK mRNAの翻訳機構(湯川) NADHデヒドロゲナーゼのCとKサブユニットをコードするndhCとndhKは重複しており、CとKは一本のmRNAから翻訳される。後方のndhKの開始コドンAUGの後ろに前のndhCの終止コドンがあり、このコドンがndhKの翻訳に必須のことを発見した。これは、上流のndhCを翻訳したリボソームが終止コドンから戻ってndhKも翻訳することを意味する。次に、このndhCK mRNAの5'UTRを欠失させてもndhKがかなり翻訳されることを発見した。このことは、ndhKの翻訳が2種の異なる経路で翻訳されるという全く新しいもので、国際学会と論文で発表した。
|